第47話 気丈のポイズワロウ

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「イムゥ!!」 「わ、わかってるよ! えいっ!」  もしかして一生倒せないんじゃないか……一瞬よぎった不安を追い払うように、歩斗は思いきり矢を放った。  低空を猛スピードで飛んでくる敵にピンポイントで合わせるのは至難の業。  だが、この短時間で歩斗のスキルが飛躍的にアップしたのか、上質な弓矢のおかげか、とにかく放たれた矢は見事に的中!  パンッ!  破裂音と共にドサッと草の生えた地面に落ちた毒ツバメの体から、ついに赤い数字煙が飛び出した。 「よっしゃ! あと一発!!」  歩斗が喜んだのも束の間、なんとすぐさま毒ツバメの体がフワリを浮き上がり、弱々しく翼を羽ばたかせ始めた。 「な、なんで!?」  歩斗の口から咄嗟に出た一言に対し、ゆっくり飛んで近づいてくる毒ツバメのクチバシが開いた。 「オ……俺がやられたらアイツら全滅だロウ……そうはさせないロウ……」  瀕死状態とは裏腹に、毒ツバメの目はギラギラと輝いていた。 「イ……イムゥ……!」  恐れおののくスララス。  歩斗は口を真一文字に結び、決意に満ちた表情を浮かべていた。  そして、右手に持った矢をしっかり確認し、弓に添える。  ギリギリと張り詰める弦の音。  矢尻を向ける先はもちろん……。 「えいっ!!!」  気合と共に放たれた矢は、一瞬で毒ツバメの体をとらえた。  パンッ……と鳴らない。  HPが0になり、毒ツバメの体がスーッと消え……ることもない。  ただ静かに、『34』の()()数字煙が浮かんで消えた。 「人間の子供のくせに強すぎだロウ……俺の完敗だロウ……。身勝手だと分かってるが、俺の命と引き換えにアイツらだけは……」  てっきり最後の攻撃を受けたと勘違いして、死に際の言葉を呟き続ける毒ツバメ。  しかし、その体がスーッと消えることは無い。 「イムイムゥ……??」  スララスも何が起きたのかよく分からず、ハテナマークに満ちた眼差しで歩斗を見上げた。 「い、一体どーなったの……!?」  ずっと草むらに隠れていたケリッツが、しびれを切らして飛び出して来た。
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