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「マジ、ゲームじゃんこれ! スライム倒したらお金を落としたとか、これってまるでロープレだよロープレ!」
大はしゃぎで叫ぶ歩斗の言葉は、とても現実味に欠けていた。
……ただし、普通の状況であれば、だ。
リビングの窓からスライムが見えるわ、窓から出たら見たことも無い森が広がってるわ、宝箱が落ちてるわ、その中に魔法の杖のような杖が入っているわ、黒スライムが飛び出してくるわ、魔法の杖から火の玉が出てくるわ……。
こうも立て続けに不思議な現象が続いたりなんかした日には、"現実味に欠ける言葉"なんてものはもう存在しないんじゃないか……と、直樹は思い始めていた。
すると、それまで心の中で渦巻いていた"不安感"が、一転して"ワクワク感"へと姿を変えていくのを感じていた。
「確かに、歩斗の言うとおりかもな。ってことは、このコイン1枚が1ゴールドだとして、あのスライムが落としていったのは3ゴールドか。うーん……これじゃ武器もなにも買えないだろうし、3人で1枚ずつ分けるとしよう!」
と言いながら、直樹は優衣と歩斗にコインを1枚ずつ手渡した。
「わーい!」
「やったー!」
父から推定1ゴールド銀貨を受け取り、はしゃぐ子ども達。
「よし。じゃあ、とりあえず帰ろうか。ママが心配してるだろうし」
「うん!」
元気よく答える優衣に続いて歩斗が返事しようとしたその時。
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