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「よし。結局何がなんだかよく分からないままだけど、とりあえず周辺を探索してみよう! 何かヒントが隠されてるかもしれないし!」
「ニャーン!」
直樹は右手に持った魔法の杖を今一度強く握りしめてその感触を確認しつつ、我が家のリビングを背にして歩き始めた。
そのすぐ後ろをささみが付いていく。
RPG風に言えば"魔法使いと猫のパーティーによる最初の冒険の始まり"である。
魔法使いの直樹がまず目指したのは、杖が入っていた宝箱を見つけた場所。
そこに何かヒントがある予感がする……という思いもあったが、見渡す限り木々しか見えないこの場所で目標にするものがそれしかない、という至極シンプルな理由からだった。
「おっ、あったあった!」
昼の明かりに助けられ、直樹はすぐに宝箱が置いてある場所にたどり着いた。
もしかしたら昨日のとは別のやつなのでは……という淡い期待を持って蓋を開けてみたが、残念ながら空っぽ。
しかし、別のものを発見することができた。
「……道だ!」
直樹は嬉しそうに叫んだ。
「……にゃーん!」
ささみもそれに同意する。
夜の闇に紛れていたせいか昨日は誰も気付かなかったのだが、宝箱が置かれている場所からちょっとだけ先に行った所に、黄土色の道が左から右に真っ直ぐ伸びていた。
こっちの世界で初めて目に飛び込んできた人工的なモノに期待と不安を膨らませながら、直樹とささみは道の方に向かってゆっくり歩いて行く。
すると、道の少し手前
茶色い地面に1枚の紙が落ちていた。
「こ、これは……!」
その紙を拾い上げた直樹は思わず息をのんだ。
古びたその紙に書かれていたのは、何かを現す絵と読めない文字列。
所々、泥やシミなどの汚れがあって鮮明では無いものの、その絵は恐らく……
「地図……か!?」
直樹の目は判断した。
そして、
「にゃーん、にゃーん!!」
と、ささみが何か言いたげに鳴きだす。
「おっとごめんごめん。ささみも気になるよなこれ。ほら、俺はたぶん地図じゃないかって思うんだけど……」
直樹が腰をかがめて、ささみにその紙を見せようとしたその時。
「#$’#’%#”~#”%」
突然、背後から意味の分からない言葉を喋る声がした。
「えっ!? だ、誰だ!?」
直樹が振り向くと、そこには派手な格好をした外国人……と表現していいのかどうかわからないが、とにかく見たことの無い人間が立っていた。
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