第7話 陽気な商人と世界の名前

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 直樹は顔を上に向けたまま目を細めてみた。  確かに、よく見てみると金属という感じは全くせず、どちらかというと…… 「鳥……かな? 翼で羽ばたいてるように見えなくもないような……」 「ああ、惜しい! 正解は……ドラゴンです!」 「あっ、そうだ。首も長いし尻尾もあるし……って、ええ!? ド、ドラゴン!!」 「にゃ、にゃにゃにゃん!?」  直樹と一緒にささみも驚きの声をあげた。  その様子を見て、ポブロトは不敵に笑った。 「フフフ、ドラゴンが空を飛ぶ姿なんて日常茶飯事ですよ。我々の住む世界<ロフミリア>ではね!」 「ロフ……ミリア?」 「ええ! 人間と魔物が共に暮らす世界、ロフミリアへようこそ!」  ジャジャーン、という効果音がピッタリはまりそうなノリで、ポブロトは両手を大きく広げてみせた。  決まった、というドヤ顔を浮かべる陽気な商人に対し、直樹は「あ、そりゃどうも……」と何とも言えない顔で返す。  なぜなら、数ある謎の中で解明されたのはまだこの世界の名前だけであり、なんで日常茶飯事のドラゴンから身を隠さなきゃいけないのかという件が気になって仕方が無かったからである。
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