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「ははっ、ありがとう。ちなみに、レベルをあげるためにはやっぱり魔物を倒したりして経験値を稼ぐ……みたいな感じ?」
「おお、その通りです! まあ、正確に言うと『人間は魔物を、魔物は人間を倒すと……』ですが。あと、経験値を稼ぐ方法は必ずしもそれだけじゃなくて……って、あっ!!!」
突然、目と口を大きく開けてフリーズするポブロト。
直樹はそれを見て、てっきりさっきのドラゴンに見つけられちゃったんじゃないか、と心配になって空や周りを確認してみたが、特に何かが襲ってくる気配は無かった。
「おっと、すみません。実は今日、仕事終わりに嫁さんと子ども達と〈空飛ぶじゅうたんツアー〉に行く約束をしてまして……」
「あっ、そうなんだ。それは逆にこっちこそ申し訳ない。次から次に質問攻めしてしちゃって……」
「良いんです良いんです! 時間的にはまだ余裕がありますから! ただ、なるべく余裕を持って帰っておかないと嫁さんと子どもに怒られちゃうんで」
ポブロトは頭をポリポリかきながら笑った。
世界は違えど、家庭における父の立場というものは大体似たようなものなんだな……と、直樹は激しく共感した。
自分も以前、家族でテーマパークに行く予定だった前日に、その件を忘れて同僚と夜遅くまで飲んでしまい、香織たちにこっぴどく攻められたほろ苦い記憶が甦る。
「そりゃ大変だ! 早く行かないと!」
ある意味、ドラゴンの襲来より厄介な羽目に陥らないように、直樹は行って行ってと身振り手振りを交えながら伝えた。
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