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第11話 レベルアップ隊と金貨
尖った頭を下にして逆さまの状態で天井に張り付いていた紫スライムは、直樹と目が合うなり大きな口でニヤリと笑い、体の力を抜くようにしてスッと落下し始めた。
「うわぁぁ!!」
上を向いたまま、大きな口を開けて叫び声を上げる直樹。
このままだと、口の中にスライムの頭が入ってしまうという大惨事。
一体どんな味がするんだろうか……なんてくだらない事を考えてる場合じゃない。
「とりゃ!」
直樹は華麗にサイドステップを踏んだ。
グキッ!
「いてっ!」
日頃の運動不足と焦りから、2、3歩横に移動しただけで左足をグネってしまう。
スー……ビチャッ。
水分量を多めに含んだ物体が地下室の固い地面に落下。
それはもちろん紫色のスライム。
数秒前まで直樹が立っていた場所にピンポイントで落ちてきた。
グネりながらも避けていなかったら直撃していただろう。
「ふぅ」
安堵のため息を……ついてる余裕など無い。
「イムイムイムゥ……イムイム……!」
天井から落ちてきた刺客はまるで先に倒された黒スライムの敵討ちとばかりに、体を右に左に揺らしたり、ブルブルと震えたりしてやる気をみなぎらせているのだ。
「ちょ、ちょっと待って! 別に悪気があってアイツを倒したわけじゃ……なんてね。申し訳ないけど、キミも銀貨に変わって貰うよ。何せ、俺にはこれがあるからな」
直樹は右手に持った魔法の杖を誇らしげに見せつけた。
しかし、紫スライムはそれを恐れることも無く、その場で上下にぴょんぴょん跳びはねて威嚇している。
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