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「やだ、揺れてるの私だけ……」
トゥットゥルルットゥッティ~ン♪
そのタイミングで香織の携帯に着信アリ。
そして、その音に驚いたのか、
「イムイムイムゥ~!! イムゥ~!」
と、ボブスライムが甲高い鳴き声を上げながらもの凄い速さで森の奥へと走り去っ……いや、ぴょん去ってしまった。
「あっ、スラちゃん待って~! もう、こんな時に誰かしら」
バッグの中から携帯を取り出すと、画面には『直樹の携帯』と表示されていた。
「はーい。何か用? いまそれどころじゃないんだけど!」
直樹を助けに来るというそもそもの目的をすっかり忘れていた香織は、若干キレ気味で電話に出た。
『あっ、ごめん……って、そうじゃなくて。あのさ、もしかしたら香織、俺の真上に居ない?』
「えっ? どういうこと?」
直樹の言葉を受けて足下を確認した香織は、自分が土では無く木の板のようなものの上に立っていることに気がついた。
そして、電話が鳴った瞬間から例の揺れが収まってることにも。
「もしかして……」
『そうそう。何か香織っぽい声が聞こえるな、って思って、扉をグイグイ押し上げてアピールしてたんだけどね。まっ、それは良いとして、何か重たいものでも乗っかってんの? どんなに押しても全然開かないんだけど』
「ちょっと、重たいって失礼じゃない??」
『えっ!? いや、そういう意味じゃ無くて! や、やだなあもう。香織が重たいわけないじゃない。大学でミスコングランプリ取ったときと全然体型変わってないし! 新居祝いでウチに来た後輩のヤツも「奥さんめちゃくちゃ美人ですねぇ~羨ましい~」とか言ってたし……』
「えっ、そうなの? やだ照れちゃう」
香織は本当にポッと顔を赤らめた。
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