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「これは……ヒモ??」
箱の中にポツンと入っていた黒と白のまだらな“ヒモのようなもの”を手で掴み、隣のユセリに見せた。
「あっ、凄い! 〈スキルチョーカー〉じゃん!」
ユセリは本気で驚いた表情を浮かべて、胸の前でパンッと両手を叩いた。
「えっ、凄いのこれ? って、スキルチョー……カー?」
「うん。それを身につければ、人間でもスキルが使えるようになるってヤツ!」
「お、おお! スキルってもしかして、透明になったり、遠くにあるモノを動かしたりとかそんな超能力的な!?」
歩斗は、ゲームやマンガから得た知識をフル動員させ、スキルという言葉の正体を導き出そうとした。
「うん、まっそんな感じ。しかもそれ、めちゃくちゃレア級だよね。そのデザイン的に〈魔物召喚スキルチョーカー〉っぽいし」
「おおお! 魔物召喚んん!! 凄そう。なんかとてつもなく凄そうだよ!!」
「ふふっ、良かったね」
興奮に包まれる歩斗の顔を見て、ユセリは大人のように微笑んだ。
それに対し、なぜか不思議そうな表情を浮かべる歩斗。
「良かったね……って、これ、キミのだよね? あの魔物倒したのはキミだし。ボクはただそれを見てただけだから。ほら」
歩斗は迷うことなく右手に持ったスキルチョーカーを差し出した。
それを見て、今度はユセリが困惑する。
「い、いいよ、このダンジョンを見つけたのはアンタ……ううん、アユトだし。っていうか、アユトって見た目はひ弱そうな男の子って感じなのに、中身は結構男らしいよね。ちょっとグッと来ちゃった」
ユセリは真っ直ぐな瞳で歩斗を見つめた。
こんな至近距離で女の子と見つめ合ってる状況だけでもドキドキものなのに、褒め言葉まで頂いちゃった歩斗は胸が破裂するか、もしくはギューッと縮んでスーパーボールみたいになっちゃうんじゃないかと焦った。
そして、恥ずかしさで顔が真っ赤になりそうな気配を察し、
「ひ弱な男の子って、キミも女の子……ていうか子どもじゃん! 背だってボクのが大きいし」
と、素直にありがとうを言わないばかりか、攻撃の姿勢を見せるという不器用さを発揮してしまう。
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