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「えっ、そう? 私のが大きいよ!」
ユセリは胸を張って背伸びして、さらにつま先立ちまでしながら言い返した。
「あ、ずりー! じゃあボクもこうだ! ほらほら!」
ユセリに向かって胸を張り、同じようにつま先立ちして対抗する歩斗。
地下ダンジョンの一室で、少年と少女が向かい合って背の高さを競い合うという謎の光景は、思いのほか長く続いた。
「あっ、見てほら、いま私のが大きいよ!」
「なに言ってんの、一瞬じゃん! 基本はボクのが大きいよ!」
「基本は同じぐらいだよ! ほらほら……って、イタッ!! あー、つったつったつっちゃた~」
限度を超えたつま先立ちをした結果、つってしまったふくらはぎを押さえながら悲鳴を上げるユセリ。
「ははっ! ほら、無理するから……って、イテッ!! イテテテ~、つったつった、マジつった~」
まるで症状をコピペしたように、つってしまったふくらはぎを押さえながら悲鳴をあげる歩斗。
そして、お互いの情け無い姿を見合った二人は、
「ブッ!」
「ブハッ!」
と、吹きだしてしまい、顔を見合わせながら大笑いした。
「ねえ、結果どっちも子どもだったっていう」
「だね!」
そう言い合うと、また揃ってププッと笑い合った。
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