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「えっ、なに!?」
叫ぶ歩斗。
「ひぃ~」
怖がる優衣。
「もしかして……泥棒?」
縁起でも無いことを呟く香織。
「か、風で飛ばされた何かが窓に当たっただけじゃないかな? はは、ははは……」
直樹は家族のみんな……というよりは自分を納得させるために理由をあてはめようとした。
「そっか。そうよね。こんな人気のあるタイミングで泥棒が来るわけ無いわよね」
「そうそうそう。そうだよ! なにかだよ! 泥棒以外のなにかに違いない」
「よかった~。ねえパパ。なにかってなに? ねえ、ちゃんと見てみて!」
「……えっ?」
無邪気な娘の残酷な言葉が直樹の心に突き刺さる。
何かは何かなんだから、別にわざわざ確認する必要無いでしょ……もし何かじゃなくて泥棒だったらどうするんだよ……とは言えず。
「よ、よし。じゃあ、ちょっくら確認してみようか……」
直樹は、一家の主として覚悟を決めた。
スッと椅子から立ち上がり、ゆっくりとリビングを横切ってオレンジ色のカーテンの目の前までやってきた。
ふと振り向くと、ダイニングテーブルに座った3人がジッと直樹の方を見つめていた。
再び視線をカーテンに戻す。
フーッ、と大きく息を吐き出す。
よし。
ここでダラダラしてたら、父としての威厳が──
バタンッ!!
さっきと全く同じ異音が再び鳴り響く。
「うわっ!」
直樹は驚き余って、無意識に両手でカーテンを掴んで思いきり開いた。
窓の外に広がるのは夜の闇。
視線を地面の方に落としていくと、部屋の明かりに照らされた青い何かが佇んでいた。
「ス、スライム……!?」
それはまさしく、スライムだった……!
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