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「わぁ、もう見つけて来たんですイム!? スゴいですイム!!」
歩斗からナオルナの実を受け取ったスララスは、真ん丸の目を大きく見開く。
と同時に、スララスが受け取ったナオルナの実を頭のトンガリに刺すようにして持つ、という行動に歩斗は驚いていた。
「まあ、手が無いんだからそうなるか……」
「はイム? なんか言いましたイム??」
「えっ、いや何でもない何でもない、ははは。って、ねえスララス。これで仲間に……」
「はイム! こちらこそ喜んでイム! これで妹のケガを治すこともできますし本当にありがとうございましたイム」
スララスは、頭に乗せたナオルナの実を落とさないよう、器用にペコリとお辞儀した。
「やったねアユト! 初仲間! って、あんまし強そうには見えないけど……」
確かにスララスは人柄……いやスラ柄は良さそうだが、お世辞にも戦闘で活躍できそうな雰囲気が漂っているとは言えないな、と歩斗は思った。
「そ、その通りですイム……」
スララスは申しわけ無いといった表情を浮かべながら体をモジモジさせた。
「まっ、ボクだってまだレベル1のザコだし、一緒に頑張って強くなっていこうよ! ……って、魔物はレベルアップしたりしない感じ?」
歩斗は仲間を励まそうとして言った言葉だったが、もしそういうシステムだったら逆効果じゃないか、と後悔しつつユセリの顔を見た。
「ううん。ちゃんと経験値稼げるし、レベルアップもするから大丈夫。良かったね、スララス!」
ユセリからウインク攻撃を受けたスララスの体が一瞬水色から赤に変わった。
「は、はイム! 正直ザッコザコですが、立派なスライム戦士目指して頑張りますイム!!」
「おう、頑張ろうぜ!」
仲間になったばかりの二人の間には、早くも友情が芽吹きはじめていた。
ユセリは、良い意味で単純明快な男同士の友情風景を羨ましげな目で見つめている。
「ユセリもな! ボクたちザッコザココンビなんだから、頼りにしてるぜ!」
歩斗は、ユセリの女心を見透か──せるほどまだ大人では無く、シンプルに思ったことを口にしただけだった。
しかし、それを聞いた当の本人は、
「うん! でも、早く足手まといを卒業してくれなきゃ、クビもあり得るからね?」
と、軽口を叩いてはいるが、心から嬉しそうな笑顔は隠しきれていなかった。
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