エピローグ

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ここでの人との出会いが、私の人生を大きく変えてくれた。 ただ、サッカーという競技に未練があっただけの私だけど、選手たちが必死で夢を追う姿を間近で見て、心から支えて応援したいと思うようになった。 全国のベンチにまで連れて行ってもらって、私の力では絶対に届かない世界を一緒に見せてもらった。 進路を決めたのだって、大塚先生と接した経験が大きな影響を与えてくれていると思う。 ついこの間まで、『好きな男の子って、いなきゃいけないの?』って本気で想っていたような私のことを、大好きだと言ってくれる人と出会って。 私もその人のことを大切に思うようになって。 これから長い時間を共に過ごす。 まだまだ、迷うこともたくさんあるけれど、一つずつ話し合って一緒に関係を深めていきたいと思う。 そして住む街は遠いけれど、心はいつも近いところに大切な結花ちゃん。 たくさんの先輩たち、後輩たち。 幸せをかみしめていたら、私の担当してるコートで怪我人発生。 「千里! こいつ頼む」 たまたま…ではないだろうけど、拓人が私のことを遠くから呼んでる。 …わ、血みどろだ。 「ひねったりはしてないですか?」 様子を聞きとって処置を始める頃には、もう拓人はコートに走り戻って行った。 その背中を見送ってから、与えられた自分の仕事に取り掛かる。 これからも、こんな風に同じ経験を共有して過ごしていきたいな。 日々真面目に一生懸命。 周囲に認めてもらえるように、誠実に過ごしていこう。 そんなことを思った冬の日だった。
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