プロローグ

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ちなみに私の母親は昔、男子チームに混じってサッカーをやってた人なんだけど、当時は本当に珍しがられたって言ってた。 試合に出てたら、相手チームから「女だ!」って指さされたとか。 相手チームの保護者から「女の子なのにすごいわね~」って言われたりとか。 母は負けん気が強いタイプで、そう言われれば言われるほど頑張っちゃって、一人で何点も取ってきたりしてたんだって。本人はあんまりそのころの話はしてくれないんだけど、おばあちゃんからこっそり聞いたことがある。 私はそんなことは全然知らなくて、ただ家の中にごろんところがっていたサッカーボールの色が気に入っておもちゃにしてたの。 そのうちサッカーという競技があることをテレビの中継で知って、走るのが好きだったこともあって、自分もやってみたいなって思うようになった気がする。 どんどん時代が変わってきて、今私はごく普通にサッカーという大好きな競技を楽しめている。 苦労して時代を進めてきてくれた人たちに、感謝しなくちゃって思う。 ただ、そうは言っても女子の大会は多くないし、何より公立中学の部活だから、そんなに強かったわけじゃない。9割くらいの子が初心者だったしね。 でも二年とちょっと校庭を走り回って、ものすごく楽しかったなぁ。 そう、私は走り回ることが好きなの。 小さいころ、一番好きだった遊びは「鬼ごっこ」だし。 サッカーって、どこに走って行っても自分次第でしょう? もちろんとんでもないところに行っても仕方ないけれど、自分で考えて好きなところから攻めたり守ったりできる。 自由な感じが、とっても好き。 運動会の徒競走とかは、そんなに好きなわけじゃない。 陸上部に入ろうとは、思ったことがないな。 やっぱり、自分の生きたいところに走っていけるから、サッカーが好きなんだろうな。 野球も走るけど、決まったコースをルールの通りに走らなきゃいけないもんね。
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