プロローグ

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母親がよくテレビでサッカーの試合を見ていたから、私も弟も子供の頃から一番なじみのあるスポーツがサッカーだった。 弟は小学生になると同時に、学校のサッカーチームに入って、それからは両親と私はよく応援にも行ってる。 今年中学生になったから、サッカー部に入るんだって。 …頑張れ。 私が高校を選ぶとき、家から通える範囲で、私の学力で頑張れば行ける選択肢として殿前高校があったの。 殿前高校は、男子サッカー部と女子ラクロス部が全国クラス。 サッカー部は、ここ数年は都大会決勝を抜けられなくて苦しんでいるようだけど…かつては全国優勝の経験もある。 男子野球部は、最近は都の西大会のベスト4から先にどうしても進めない…っていう状況みたい。でも過去には複数回の甲子園出場経験もある、どちらも伝統ある部だ。 私は、選手として男子に混じってやれるとは到底思っていない。 体格面も技術面も、そして何より気持ちの面でも、私にそこまでの強さはない。 それに、さすがに高校にもなったら、仮に私の背がもっと高くてがっちりしていたとしても、男子と競るのは怖いと思ってしまう。 だから、サッカー部に選手として入部しようとはまったく考えていなかった。 でも、もしできたらマネージャーとして。 頑張る選手の力になれたら…そして自分で行くことは夢の夢のまた夢だった全国に行けたりしたら、幸せだなって思って、殿前高校を第一志望にして頑張った。 もし三年後、弟が後を追ってきてくれたりしたら…嬉しいけど、私たちは三学年差だから、一緒に在籍はできないんだけどね。 勉強することは好きだから、もちろん一生懸命頑張るけど、せっかくスポーツが盛んな学校に進学したんだから、一緒に上を目指していけたらなって思ってる。
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