六丁目の角で

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その月の終わり頃に、取引先と飲みに行く機会があった。接待という目的もあったので、その店に行く事にした。 そして、山野さんを指名した。前回会った際に、そのやわらかな接客が気持ち良かった。他の娘と比べてダントツ、とは言えなかったが、何となく指名したい、と感じたので、思い切って指名するつもりで来た。前回貰った名刺では、この日は出勤しているはずだった。 「ご指名ございますか?」とボーイ。 「山野さんで。」 「山野さんですね。承知致しました。」 ボーイがボトルなどの準備で下がっていった。しばらくすると、まだ、ボトルの準備できていないのに、山野さんが怪訝な顔をして、近づいてきた。僕は、笑顔を作って、手を振った。僕の事を思い出してくれたようだ。納得したのか、戻っていった。 テーブルにボトルなどが準備され、山野さんが席に付いた。みんなに飲み方を確認して、水割りを作った。山野さん自身は、小さなコップにミネラルだけ入れた。 「じゃ、乾杯しましょう。お疲れ様でした。」 「お疲れ様でした。」 「いただきます。」
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