六丁目の角で

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その月から、毎月、店に通うようになった。毎月、最後の金曜日は、この街に出てくるので、必ず来た。 何か月後に、早めに街に着くことがあったので、思い切って、山野さんを出勤の前に食事に誘って見た。快諾してくれたので、店の近くの、そんなに高くない寿司屋に行く事にした。 当日は店の前で待ち合わせをして店に入った。私服姿の山野さんを初めて見た。彼女らしい、落ち着いた感じのOLっぽい服だった。店の衣装ではない恰好の山野さんを見られて、少し優越感を感じた。 店には良くある同伴というシステムがないので、山野さんは始業に間に合うように早めに寿司屋を出た。 「ごめんなさい、ゆっくりできなくて。先にお店でお待ちしています。」 「良いですよ。」手を振った。 「お先に。」
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