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その後告げられた義母の死は、あまりにも突然だった。
ほんの短い間でも医師や看護師が全力で義母を救おうとしてくれたのはじゅうぶん納得している。
だが、それでも、こんな唐突の最期を受け入れられるわけもない。
わたしは、無礼にも医師に食ってかかった。
あともう少し、もう少し治療を続けてくれたら、もしかした義母は回復するかもしれないと。
自分が無茶を言ってることは、思考の遠いところでは理解していた。
でもこのまますんなりと、はい分かりました、なんて了承できないのだ。
だって、つい数時間前、義母と電話で話したのに。
彬くんが朝からどこかに行ってしまったと、帰ったらお義母さんに連絡しますねと、普通に話して普通に約束して。
なのにその義母が、死んだなんて、考えられない。あり得ない。信じられない!
医師の両腕に縋りつくように掴みかかるも、その医師からは、謝罪の言葉が返ってくるばかり。
それは真摯な、心の底からの同情を込めて。
わたしはしばらく足掻いて、でももうそれ以上訴えることもできなくて、今度は、ベッドに横たわる義母の体に抱きついた。
『お義母さんお義母さん!お義母さん……』
その頬は温かく、まるで白雪姫のように、何かの拍子に息を吹き返しそうなのに。
けれどわたしは王子様ではない。なりたくてもなれない。
どうして!どうして………!
わたしは、目を閉じたまま身動きを止めてしまった義母に、どうしようもない感情をぶつけることしかできなかった。
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