僕と君と雑巾と。

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次の日。 いつも通りかと思われた学校生活に変化が起こり始める。 「今日はお前らに報告があるぞー。」 ざわ。 教室がドッとざわつく。 「えー。転校生が来ることになったー。」 ざわざわ。 先生が珍しく大きい声で話したと思ったら、 まーた騒がしくなった。 男か。女か。 なんてしょうもないことで騒いでいるのか。 「入ってきていいですよー。」 「し、失礼します。」 ガラガラ。 ざわざわざわ。 さっきより、少し嬉しそうな騒音。 理由は… 転校生が女だったからだろう。 「初めまして。」 彼女が顔を上げた瞬間、目があった。 長い黒髪。 真っ黒な瞳。 綺麗な姿勢。 何度も練習したかのような言葉。 違和感のない笑顔。 人形 彼女を一言で言い表すなら、人形が1番しっくり来る。 そんな彼女は案の定、クラス全員の視線を釘付けにさせた。 女子は「綺麗」 男子は「美少女」 そう思ったことだろう。 実際僕もそうだった。 感じたことのない胸の高鳴り。 いや。 これはあの時と似てる。 初めて雑巾をバケツに入れた時と。
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