僕と君と雑巾と。

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掃除の時間。 みんなは先生がいなくなったのを見計らって、彼女の元に集まった。 彼女はすぐに人気者になった。 休み時間も彼女の周りには沢山のクラスメイトがいた。 綺麗で、頭もよく、なんでもできたからだろう。 僕はいつも通り本を読んでいたけど、 心には何故かモヤモヤした気持ちがあった。 なんでかはわかんないけどね。 「代わろうか?」 僕に声をかけてくれた彼女。 代わるって何を? 「水、冷たいでしょ?」 水拭きを代わってくれようとしてるのか。 でも、それは少し困るなぁ。 だってこれ、僕が学校に来る理由なんだもん。 「ありがとう。でも大丈夫。 水が冷たいのは君も同じでしょ? 女の子は体を大切にしないとね。」 「あっ。うん。 そうだね。何かあったら頼ってね。」 うまく話せただろうか? ヒトと話すのはひさぶりだから、少しぎこちなかったかもしれない。 それにしても、なんで彼女は僕に話しかけたんだ…? まぁ、いっか。
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