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・・・二十年が過ぎた。
翌年私は総司と結婚、
三人の子供にも恵まれた。
平凡な毎日の中、
家族に秘密のドライブが今日。
波の煌めきに照らされながら。
あれから私達が“この海”へ
二人で来ることはない。
もしかしたら総司は
独りで・・・私同様に
誰にも内緒で
来ることがあるかもしれないけれど。
毎夏波に花束を贈る、
なんの懺悔にもならないけれど。
千回花を手向けても
赦しの声は貰えないけれど。
この海は私が狂うほど好きな夫の
総司の大好きな場所、
私の秘密を沈めた場所。
私の幸福を護る場所。
命尽きるまで泳ぎ続けなければ
・・・・ならない場所、
腕に絡んだ“泳げない人魚”が
重りになってはいるけれど・・・。
ー 了 ー
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