花束をもう一度

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家に着くまでの間、二人は終始無言だった。美保は静かに泣いているし、寛人も何やら考え込んでいる様子だ。家に帰ってもしばらく沈黙が続いたが、それを破ったのは寛人だった。 「美保。本当にすまなかった。美保が別の男に取られそうになってやっと、当たり前のように思っていた君の存在が、如何に大切なのかに気づいた。今まで寂しい思いをさせてごめん。」 寛人が深々と頭を下げると美保は号泣した。 「私こそ…。貴方を裏切りそうになってごめんなさい。浮気って言われても仕方がないことをした。本当にごめんなさい。」 美保も深々と頭を下げるが、寛人は彼女の頭を上げさせる。 「美保。俺達、もう一度やり直そう。そして今度こそ、二人で幸せな家庭を作ろう。もう二度と、君に辛い思いはさせないから…。」 美保は頷きながら寛人の胸に飛び込み、寛人は彼女を強く抱きしめた。そんな二人の再出発を祝うように、夕日が部屋に優しく差し込んでいた。
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