みゆき

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まるで科学の実験でもするみたいに、二百回以上デリヘルで女を呼んだけど、インターネットのアダルトビデオを見るのと同じで、ときめく女は10人くらいなものだった。 金がもったいねーと思った。ドアを開けるまで、どんな人が来るかわからないしね。ガチャガチャと同じだった。気づくまでどれほどお金を使ったことか。でも徹底的にやってしまいたかった。がっかりなのは、さっきも言ったようにその人たちとのセックスをもう思い出せないことだ。 その中で少し違うにおいのする女がきた。それがみゆきだった。彼女は言葉を失うほど美しかった。これまで僕が目にしたなかでもっとも美しいといってもいい女性だった。彼女ぐらい美人ならどんな男だって、例えば芸能人だって、恋人に選べるだろう。 だが、外見からだと、そんな強いなんて思えないが、実際には気の強さが尋常でなかった。 ビッチだった。 少なくとも、家庭には収まらないタイプの女である。 ちょっとでも、気に触ることがあると、不機嫌になって怒った。こういう女性は、どういう男が好きなんだろう。 僕はみゆきのひらべったい腹部におおいかぶさり、口づけした。そして彼女の顔をすべりおりて、首の静脈に沿って舌を這わせ、乳房をむさぼり、ヘアの方までおりていく。みゆきは身をふるわせて喘ぎはじめる。僕はみゆきのふとももを押し開き、尻の穴まですべてを舐めた。彼女はのけぞりながら両手でやさしく僕の頭をまさぐり、それに合わせて自分から腰をうねらせ、もう一度僕を迎え、二人の視線は再び交わり、僕は彼女の唇に、唇を押しあて、快楽のよろこびに身を委ねてみるのだが、実際のところ、僕とみゆきは、身体の相性が合わなかった。 彼女のすらりとした長い足を持ち上げてやるなんて考えたりしたら、とても最後までできやしない。自分でも、それがよくわかる。 しかし、そうであっても心をうごかさざる得ないのは、みゆきが今まで僕がされなかった特別な何かをしてくれたからなんだ。 だからあれからもう何十年もたつというのに、みゆきのことは覚えている。
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