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2000年。
喫茶店でコーヒーを飲んでいた僕は、壁際のテーブルに座って本を読んでいる女性に目を向けた。
女性も、ちらちら見ている僕に気づき、目が合った。
僕がその女性に目を奪われるのは、なんだかすごくタイプだからだ。
コーヒーカップを口元に運びかけたその瞬間、再び目が合った。
僕は思い切って立ち上がり、彼女に話しかけることにした。
気配に気づいて、彼女は本を読んでいたが顔をあげる。
軽い口調を装って聞いた。
「一人ですか?」
彼女は、目を上げて僕のこと見上げる。
あ、それから、僕は誰かれなしに声はかけない。声をかける女性は、僕の力になってくれそうな女性だ。
近くの席では、興味津々でこちらをじっと見つめてくる人もいたが、女性が「ええ、そうです」と答えてくれたので、なんとなく気持ちが楽観的になり、僕はすっかり調子に乗って彼女のテーブルに座った。いや、きっと彼女なら応じてくれると思ったからこそ、声をかけたのだろう。
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