彼氏くんと彼女ちゃんの話

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***** 今日が何の日か覚えているか、と。 いや、忘れる訳がないだろう。 最近めっきり可愛くなってきて少し気にかけていた幼馴染に、バレンタインにチョコレートと共に告白されて、彼氏彼女になって。 ここでホワイトデーを外したら、自分の中では男失格な気がする。 お返しだって、それなりに気遣って時間をかけて選んだ。 こちらはそれをいつに渡したらいいのか、朝からずっと無駄にドキドキして。 『帰り道の別れ際でいいや』と五限になってからようやく割り切って、ようやく安心して。 なのに帰り道に、先に話題にされてしまうし。 請求されたのでやむなく渡そうとすると、先になにやら押し付けられる。 あいついわく、弟の誕生日祝いだとか。 たしかに今日だけれど、今それを渡すか……!? 相変わらず、あいつの思考はカッ飛んでいて読めない。 なんだかからかわれている気がしてたまらなかったけれど。 それなのにあいつは、クリスマスのプレゼント交換みたいなことをしたかった、なんてちょっと可愛いことを言ってきた。 挙句、つきあってくれる、とか。 では今のこの状態はなんだというのだ。 そう返したら、らしくなくあいつは赤くなった。 数秒後、あいつはクリスマスプレゼントの交換という行為につきあってくれるのかと聞いたのだ、と自分の早とちりに気がついた。 しかし今更訂正するのも恥ずかしい。 ……まあいいや。 なんだか凄いことを言ってしまった気もするけれど、こいつの照れてる顔なんて珍しいものを見られたから。 ちくしょう、そうやってたら可愛いんだけどな。
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