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「ねぇねぇ! 覚えてる?」
最近ようやく告白してようやく彼氏と彼女の間柄になった、家がお向かいさんの幼馴染の彼。 只今二人だけで徒歩にて下校真っ最中だ。 言ってしまうならば今のうち。
「今日が何の日かってさ」
彼は明らかに面倒くさそうな顔をして、苦々しく言った。
「あ~……もう……」
そんな彼の顔を見てニカッと笑う。 今日は告白して一ヶ月記念日。 またの名を、彼氏からお返しをしてもらえる日なのだ。
口を尖らせながらも彼は、通学鞄をゴソゴソと物色し、可愛い包装紙でくるまれた箱を取り出した。
そして、ちょっと顔を赤くしながら自分に渡そうと、こちらを向く。
「……え」
「へへ~今日は、弟くんの誕生日だもんね!」
彼が自分に手渡す前に、先に自分からの小さい包みを押し付けるように渡す。 中身は安い市販のお菓子だ。 百均グッズで見た目を可愛くしただけで。
「あれ? それは私にくれるやつ? ちゃんと三倍?」
「うるさいな、いらないんならやらん!」
「いやいや、いるいる、いります! わーい、嬉しいなー」
彼が驚いて呆けている顔を見るのが好きだ。 一ヶ月前に告白した時もそうだった。 みるみる真っ赤になるのが可愛い。
「だって~……クリスマスの時はまだだったから、出来なかったしさぁプレゼント交換。 折角だから、やってみたかったんだもん」
「ついでのような感じで、弟の誕生日をダシにするなってんだ」
彼の言うことも、もっともではある。 例年から弟くんの誕生日を祝っていた訳でもないし。
「……クリスマスにやったらいいだろ、そういうのは」
「お。 つきあってくれるんだ?」
「? つきあってるんじゃないのか、俺たち」
「! ……いや、まあ、うん……」
ああもう、この天然鈍チン! 好きー!
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