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遠目で見ても分かる。
間違いなく彼女だ。
しゃんと伸びた背筋と柔らかそうな髪、あの髪に触れてみたいと何度思ったか。
ウェットスーツ姿しか見たことがなかったので、服を着た彼女はまた一段と綺麗だ。
いつまでも足を止めて見ていると変な人だと思われてもいけない。
どくどく音を立てている心臓を収さめようと、自販機を目指す。
自販機でブラックコーヒーを買うと一気に飲み干す。
まさか、こんなところで会えるとは思ってもいなかった。
展示会が終わるまでにあと、2日ある。
2日の内にどうするか考えよう。
彼女のお店の名前を確認するのを忘れたので、戻る途中でお店の名前を確認して頭に刻み込む。
彼女と再会したこの日は全く仕事が手につかなかった。
ようやく長い一日が終わる。
彼女のお店に目を向けると、もう姿はなかった。
「お疲れ様でした。また明日もよろしくお願いします。」
スタッフに声をかけて、片づけを済ませて車に向かう。
車に乗るとすぐ、スマホを取り出す。
頭に刻みこんだ店の名前を検索する。
一番初めに出て来たワードを開いてみる。
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