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愉快な幼馴染みたち
翌日、私は幼馴染みの美佳にこれまでの出来事を話した。彼女は色白でスタイル良くて、顔がモデルみたいに可愛い。
つまり、学校一モテる女なのである。
こんな見た目だが性格はサバサバしてて、ちょっと……いや、かなり毒舌なときあるけど。私はそこもひっくるめて彼女が大好きなのだ。
「へぇーそんなことあったの」
「うん、そうなんだよ」
「明日香、その人のこと好きになっちゃった?」
「へっ?い、いやいやいや。そんなんじゃないけど……」
「えーいいじゃん。話聞いてる限りかなりカッコよさげで素敵な人だし。当たって砕けてきたらいいじゃない」
「ちょっと、なんでフラれる前提なの」
私が美佳にツッコむと、思わず二人で笑ってしまった。
「でもホント、チャンスなんてそう簡単に来ないんだし。せっかく巡ってきたんだから積極的にいってみたら?」
「うーん、そうかなぁ。いやでも、見た感じ30代くらいの大人の男の人だったよ?結婚してるかもしれないし。第一、学生なんか恋愛対象じゃないでしょ」
「恋愛に年齢は関係ありません!狙った獲物はグイグイいくの。いつまでもそんな消極的じゃ、一生彼氏できないね」
「それは……はい、スミマセン」
恋愛の先生にそうはっきり言われてしまうと落ち込む。
「何の話してんのー?」
そう言って話に混ざろうとしてきたのは、これもまた私たちの幼馴染みの健太。
「なんか明日香が白馬の王子に一目惚れしたんだってー」
「ちょっと美佳さん、それはちょっと話盛りすぎなんじゃないですかね?」
「……えへっ」
そう言って美佳は舌を出して自分の頭をコツンと叩く。ぐっ……可愛いじゃないか。まったく、あざといんだからもう……。
これは全世界の人間が許してしまう。だって最高に天使なんだもの。
「ふぅーん」
急に少し仏頂面になって、声がワントーン下がる健太。
「健太さぁ、もうちょい興味持ってよ」
「まあ、コイツのこと好きになるなんてよほどの物好きしかいねーよな」
「はぁ?余計なお世話ですぅー」
私は健太の耳を引っ張る。
「い、いてぇだろうが!」
「本当に、アンタたち仲いいわねぇー」
「「よくない!」」
「息ぴったりじゃない」
もうこらえられないと美佳は笑い転げる。
私と健太はちょくちょく喧嘩するけど、3人とも仲の良い幼馴染みだ。
「……ホント、わかりやすい」
「何か言った?」
「ううん、なんでもなーい」
聞き返してみたけど、そう返事をすると、美佳は窓のほうに顔を向けてしまった。
――少し、美佳の表情が曇った気がした。
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