新しい気持ちを自覚して

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新しい気持ちを自覚して

 「ここまでで大丈夫です」  「そう?今日はどうもありがとうね」  「はい。すごく楽しかったです。ありがとうございました」  もうこれでお別れなんだと思ったら悲しくなった。  「じゃあね」  「さようなら」  去っていく藤堂さんの背中を見送る。  これでもう会うことはないかもなぁ。そう考えたら、ふと胸が苦しくなった。視界がだんだん滲んでくる。  ああ。私、本気で藤堂さんのこと好きになっちゃったんだ。  行かないでって言えたらなぁ……無理だけど。  クルッと背を向けて私も歩き出す。すると、後ろから足音が聞こえてきた。  「ちょっと待って!」  振り返ると、こちらへと走ってくる藤堂さんの姿が見えた。  「ど、どうしましたか?」  「いや、あの……。明日香ちゃんさえよかったら、また一緒にお茶でもしてくれないかなって……」  「ぜひ、お願いします!」  「はぁー、よかったぁ。じゃあ、連絡先交換してもいい?」  「はい……!」  嬉しい、また会えるんだ。喜びのあまり私は泣きそうになった。  彼の声色だけじゃなく、街の灯りまでもが、私を優しく包み込んでくれているような気がした。
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