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幼馴染みの告白
「今日は俺が奢るから、明日香ちゃんは先に外に出てて?」
「はーい。ごちそうさまです!」
お店の外に出ると、そこにはなぜか健太がいた。こんなところにまで来るなんて珍しい。なにか特別な用事でもあったのだろうか。
なにやら複雑な表情でこちらを向いてくる。
「健太?珍しいね。こんなところでどうしたの?」
「……ちょっとお前来い。」
聞いたことのないような低い声。普段とは明らかに違った様子に、わずかに恐怖を感じて身が竦む。
すると突然、健太は私の腕を掴んだ。
「え?どうしたのってば……」
そのままぐいっと引っ張られる。状況がうまく呑み込めず、あたふたしているうちに私は健太に連れ去られてしまった。
「ちょっと!どこ行くつもり?」
「……。」
必死に叫んでも、健太は何も答えない。
……ちょっと力強すぎじゃないかな?
「健太、腕痛いから……」
そう言うとようやく健太は立ち止まり、私の腕をパッと離す。
「ごめん、頭が混乱したままなんだけど……健太、どういうことかきちんと説明してくれる?」
しばらくして、健太は口を開いた。
「……お前、アイツとはどういう関係なんだよ」
「アイツって……?」
「さっきカフェにいたアイツだよ」
「……藤堂さんは、前に美佳と話してた親切な人」
「ここんとこずっと、お前アイツとあのカフェにいたよな」
「そうだけど……って、なんで知ってるの?それに、なんでちょっと怒ってるわけ?」
「お前、アイツと付き合ってんのか?」
「こっちの質問を無視しないでよ……。ううん。違う、付き合ってはない」
「でも好きなんだろ……?」
まさか健太にバレてるなんて。
一瞬、ドキッとして、焦る。
「……なんでだよ」
健太は苦しそうな顔をする。
「なんでアイツなんだよ……!」
次の瞬間、私は健太に抱きしめられた。
「な、なんのつもり――」
「俺でいいじゃん……!」
「何の話?っていうか離してよ」
「嫌だ。離さない」
「え?何言ってんの。もう、お願いだから子どもみたいなこと言わないでよ――」
「――好きだ」
耳を疑うようなセリフ。理解が追いつかない。
「えっと……今なんて?」
「俺、ずっと前から明日香のこと好きだった。ずっとずっとお前のことだけ見てた。本気で好きなんだよ……」
健太は辛そうな掠れた声でそう伝える。
「……そんな、だって私たち幼馴染みじゃん。私、健太のことそういう風に見たことないよ」
「今まではそうだったかもしれないけど、これからは俺のことそういう風に見てくれよ。俺、絶対お前を幸せにする」
真っ直ぐに見つめてくる健太。どれだけ本気で伝えてくれているのか、ずっと一緒に居たからよくわかる。
でも、私は……。
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