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「まあ、そんなような意味だろうな」
「そんなの持ち出しちゃって、いいのかなあ」
「仕方がねえよ。生きた人間なんて……どうして良いか、分からん」
「変なもの拾っちゃったね。でも、本当に「人」なのかなあ。もしかして、どこかに獣のものが生えてるかもよ。実は「獣人」でした、ってねー」
「それは、ねえ」
「は? どうして分かるんだよ」
ユノの少しだけ強い声に、ロウが黙った。
「…………」
「なになに、なにい?」
ロウが重くなった口を薄く開ける。
「……し、調べたんだ」
「…………」
今度はユノが黙る。そして何かに思い当たると、ユノは不愉快を絵に描いたような顔をした。眉間にシワを寄せ、目を釣り上げる。
「お、お、おまえぇぇ‼︎」
「うるせえよ‼︎」
「相手、女の子だろっ‼︎」
「仕方ねえだろ、服着せたり、か、身体を洗ったり、色々すっげえ大変だったんだぞっ‼︎ と、とにかくっ、耳とか尻尾とかは見当たらんかったんだっ」
「し、し、尻尾て……ロウってば、サイアクだなっ‼︎」
「うるせえ‼︎」
その後は沈黙がのしかかって、帰路は重苦しい雰囲気に包まれた。二人はそれ以上言葉を交わさずに、ロウの家へと向かっていった。
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