Doppel~ふたつの私~

2/14
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
* 「……っ!」 目が()めた瞬間、号泣している自分に気づく。乱暴に手の甲で涙をぬぐい、唇を引き結ぶ。 ああ、また見てしまったんだ、同じ夢を。 「ねえアスカ……、あなたはいつまで私を(さいな)むの?」 もう知ってる。あの夢は過去、現実(ほんとう)にあった出来事なんだって。 私が辿(たど)っているのはアスカの(さい)()の記憶で、(ゆい)(ごん)のような(じゆ)(ばく)で。 アスカは私で(・ ・ ・ ・ ・ ・)私はアスカ(・ ・ ・ ・ ・)だから。 これからも私は、あの瞬間に感じたすべてを忘れられない。 いつまでも心にこだまするアスカの声に、耳を(ふさ)ぐことすら許されない――。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!