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春田浩二は胡蝶蘭の花が好きだった。
胡蝶蘭の花に囲まれた部屋で眠るのが夢だった。
そう、こんなゴージャスなまさしく華という文字そのものズバリの花に囲まれて、眠ればきっと素敵な夢を見るに違いないと思ったのだ。
やがて、彼はその夢を叶えた。
苦節うん十年かけて、一角の金持ちとなり、寝室を胡蝶蘭だらけにして、その中で眠るという年来の夢を実現したのである。
胡蝶蘭の充満する部屋は芳しい匂いに満たされており、浩二は桃源郷のように思われた。
夢叶った満足感に満たされて健やかな顔で眠りについた。
そして、酸欠で死亡した。死に顔にはもがき苦しんだ跡が見られた。
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