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プロローグ
スーパーの入り口付近に、小綺麗に包装された箱が積まれているのを目にすると、ああ、今年も来たのかと胃が重くなる。
つい先日までは、恵方巻きや豆などでワゴンが埋めつくされていたが、今ではこぢんまりとした色とりどりの箱に占領されてしまっている。
役目を失ったものたちは、値引きシールを無慈悲に貼られ、入り口から離れた見切り品のコーナーに身を寄せていた。
本当に我が国は、イベントの切り替えが凄まじい。
特に、クリスマスから年末年始にかけての移り変わりの速さには感心する。クリスマス当日までは店内が聖夜一色だったが、次の日にはもう年越しムードに変貌していた。
たった一日、いや、店が閉店してから再び開くまでの数時間で変えるのはさぞ大変だろう。お疲れ様ですと心の中で労いながら、季節ごとに変化するワゴンの横を素通りしていた。
武骨な男である俺には、こういったイベントはあまり縁のないものだ。花の高校生といえど、世間一般的に言われるイケメンの部類から遠く離れた顔立ちのためか、この十八年間で一度も告白を受けたことはない。
周りの男どもは、年がら年中「彼女欲しい」だの「リア充爆発しろ」だのと羨みひがんでいるが、俺はなんとも思ったことはなかった。
気の合う連中と馬鹿騒ぎをしている方が楽しいし、そもそも恋人をつくる時間も余裕もないに等しいのだ。
この、赤ん坊並みに手がかかる幼馴染がいる限りは――
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