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ファースト、コンタクト
双眼のカメラアイが光を発した。その身体を覆う空気が揺らいだ。
身体ねね表面から不可視の刃が伸び、狭い格納庫の壁と拘束具を細切れにした。空中に漂う塵がその元凶のうねる姿を浮き上がらせた。
屈む。エネルギーが1方向に集中され、その身体を推す。最後の拘束具が断末魔の声をあげる。
やがてそれは止み。
格納庫の壁を突き破り。
日の下灰色の身体を輝かせた。
「あれが私たちの開発した最新型の幽体エネルギー兵器。現在最強の兵士“ウォーライダー”よ。現時点であれを止める手段は無いわ」
数キロ離れた崖の中に作られた防衛基地
“サイド7-1”の中でその女は半ば誇らしげに言った。
「それではどうにもならんだろう。何とかしてあれを止めるのが我々の仕事なんだ。何か無いのか、方法は」
「無いわよ。あるわけ無いわ。あったら作ってないもの」
女はむしろ愉快そうだった。もともとこの計画には反対だったのだ。
「そんな事って…こっちに来たぞ!」
セントラルベースを焼き尽くしたウォーライダーが地面に無数の斬り傷を撒きながら突進してきた。あっという間に二人の目の前に到達し、急上昇する。カマイタチの1つが二人のすぐ右を通り、屋根を真っ二つにした。
ウォーライダーは基地の中央に墜落。通信システムに干渉し、アンテナを通じて全球の通信システムをダウンさせた。
二人が頭を庇っていた手を下げたとき、すでにウォーライダーは飛び去っていた。
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