振られればいいのに

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振られればいいのに

乗り込んだ観覧車はゆっくりと上がっていった 斜め上に見えるのは先に乗った宇野ちゃんとあいきだった 「告白してんのかなー…」 「…両思いなんだっけ、あそこ」 「うん…上手くいくといいね」 「そう?宇野ちゃん振られればいいのにって俺は思うよ」 「…なんで?」 「…好きだから」 「でも上手くいくでしょ…両思いなんだし」 「願うのは自由じゃん」 「そうだね…ほんとに…」 振られればいいのに 漏れそうになった本音を慌てて飲み込んだ 協力するって約束したんだ 二人のこと、何よりあいきのことを切に願ってる 『好きな人できたんだ』 『俺の好きな人、あいきなんだ』 両思いなのに、振られるとかないでしょ だから、そう… キスをする二人をガラス越しに見ても 俺に泣く資格なんてない
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