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「っ…は、急になにすんだよ!宇野!」
「急に…?急じゃない、ずっとこうしたいと思ってた」
目の前のそれは、いつもの宇野とは違かった
「いつも俺に聞かせてたよな。陽介の好きなとこ、惚気や愚痴、最後は結局、やっぱり好きだって言ってた…」
俺の肩を掴む手はどんどん強くなった
運動部の俺が振りほどけないくらいに強くなっていた
「俺がどんな気持ちでお前の話を聞いていたか分かるか?分かんないよなぁ、俺はお前が好きなんだよ!だから、いつもいつも陽介を殺したかった!無自覚で両思いなんて許せなかった!なんの努力もしてないくせに…!」
「宇野…俺……」
「謝罪も何も要らない。告白をやめようなんて思わなくていい。でも、告白できる?好きな人に他の人とキスをしてるのを見られて、好きだって言って、信じてもらえると思ってんの?」
「っ…お前に何が分かんだよ!」
「分かるよ…だって、お前も陽介も優しいから。お前は俺とキスした罪悪感に苛まれるし、陽介は俺に協力するって言った手前素直に好きだなんて言えない。告白しな、それで付き合えばいいよ。でもその瞬間お前の頭に絶対俺が浮かぶ!手放しで幸せになんて、絶対にしてやらない!」
一瞬悲しかった
恨もうとした
でも、顔を歪ませて叫ぶこの友人が
どうしても恨めなかった
可哀想で可哀想で
「…俺と付き合う?」
「は…?」
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