1270人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「いつもの後輩さんですか?
いい人ですね~。
なにかお礼しなくちゃですね」
そう言い笑う日子の言葉を聞きながら、誠孝は、
お礼になにをする気だ……と思っていた。
日子に訊けば、
「いや、なにかお菓子をあげるとかですよ」
と不思議そうに言われるとわかっていて、そう思う。
いい後輩で、いい奴なんだ。
爽やかで。
日子に紹介したら、二人で恋に落ちてしまうかもしれん。
誠孝は無性に不安になっていた。
二人で片付けを終えたあと、ソファに座っていた誠孝は、
「日子」
と呼びかける。
手招きすると、日子がノコノコ近づいてきた。
撒いた木の実にまんまと寄ってきた小動物のようだ、と思いながら、日子の腕を捕らえる。
引き寄せ、自分の膝に座らせた。
最初のコメントを投稿しよう!