日子たちのその後――

10/41

1270人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
  「いつもの後輩さんですか?  いい人ですね~。  なにかお礼しなくちゃですね」  そう言い笑う日子の言葉を聞きながら、誠孝は、  お礼になにをする気だ……と思っていた。  日子に訊けば、 「いや、なにかお菓子をあげるとかですよ」 と不思議そうに言われるとわかっていて、そう思う。  いい後輩で、いい奴なんだ。  爽やかで。  日子に紹介したら、二人で恋に落ちてしまうかもしれん。  誠孝は無性に不安になっていた。  二人で片付けを終えたあと、ソファに座っていた誠孝は、 「日子」 と呼びかける。  手招きすると、日子がノコノコ近づいてきた。  ()いた木の実にまんまと寄ってきた小動物のようだ、と思いながら、日子の腕を捕らえる。  引き寄せ、自分の膝に座らせた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1270人が本棚に入れています
本棚に追加