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「俺はなんでこんなに不安なんだろうな。
お前に愛されている自信がないからか」
日子の髪を撫でながらそう呟いて、
「仕事で私をボコボコにするからじゃないんですかね?」
と言われてしまう。
「はっ、すみませんっ。
疲れていたので、本音がっ」
と日子が叫んだ。
仕事で、うっかりロクでもない本音をもらそうものなら、ただじゃおかないんだが……。
だが、家にいる今は日子が可愛くて仕方がない。
焦る日子が可笑しくて。
ちょっと笑って、不意打ちのようにキスをした。
日子が赤くなる。
その瞳を間近に見つめて言った。
「俺がこんなにお前に夢中なんだから。
他の奴もそうに違いないと思ってしまうんだ。
だって、恋なんてしたこともない俺をお前は、お前がいなきゃ駄目な奴にまでしてしまったんだからな」
「や、やめてください、照れます……」
まっすぐ見つめる自分から、逃げようとするように日子は視線をそらす。
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