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「誠孝さんが意地悪なんです」
社食でトレーを置きながら日子はそう言ったが、郁美は、
「なによ。
そんなの元からじゃん。
あんた、そんなことより、星野が来たら教えなさいよっ」
と言ってくる。
社食の中を窺う郁美の手には、甘い缶コーヒーが握られていた。
「今日こそ、私が買った缶コーヒー、星野に飲ませるわっ。
羽根に先越されてたまるもんですかっ
もう~っ、羽根めっ。
いきなり私と星野の間に割り込んできて~っ」
と郁美は言うが。
いやいや、この間まで、星野のこと、眼中になかったですよね?
今まで、なにも言わなかったけど。
羽根的には、いきなり割り込んできたのは、郁美さんの方かもしれないな、と思っていた。
「今まで気づかなかったけど、星野って優良物件じゃんっ。
イケメンだし、やさしいし、仕事もできるし。
ずっとあんたを思い続けてたことから言っても一途な性格だってわかるしっ」
私のことも一途に思って欲しいっ、と郁美は願望を述べはじめる。
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