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「でも、最後にお前と墓に入るのは俺だ。
俺はお前の最後の男になりたい。
……最初はとられたから」
マヌケだな、と今、自分とだったら似合うと言ったドレスを見ながら、新太は笑う。
「俺が呑気に分冊百科を集めている間に、あいつはせっせとお前に美味いものを食わせてた」
いや、美味いものにつられて結婚しようとしてるわけではないですよ。
……たぶん。
「俺に誠孝ほどの料理の腕はないかもしれないが。
金の力でなら、食わせてやれるぞ」
だが、そんな新太に日子は笑って言った。
「ありがとう、新ちゃん。
新ちゃん、料理上手いよ。
子どもの頃、お腹が空いたろうって深夜みんなに作ってくれた、昆布にお茶かけただけのお茶漬け、美味しかったよ」
今でも忘れられないよ、と日子は言う。
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