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待ってください~っ、と店の中に入っても踏ん張る日子を振り向き、誠孝が問う。
「どうした。
何故、嫌がる。
俺と結婚したくないのか。
やはり、新太さんがいいのか」
いや、何故、そうなるっ、と思う日子に、
「さっき――」
と誠孝は困ったように口を開いた。
「おばさんたちに式はいつなのか、私たちにもいろいろ予定があるんで早くしてくれと責めたてられて。
つい、わかりました。
近いうちに結婚しましょうと誓ってしまったんだ」
「……それ、私じゃなくて、おばさんたちにプロポーズした感じになってませんかね」
おばさんじゃなくて、私にしてください、と思う日子たちを見て、カウンターにいた可愛らしいおねえさんが笑っていた。
ヤバイ。
店に入ってきたのに、なにがしたいのかわからない迷惑な客になってしまっているっ、と日子は焦る。
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