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六月十二日は恋人の日だ、とか言ってた気がするんだが……。
それぞれが式の準備で忙しく、誠孝とは、ほとんど会えなかったうえに、
「独身最後の夜なので、それぞれの実家で過ごそう」
ということになり、日子はそのまま実家に泊まることになった。
母親が、
「おばあちゃんたちも夕食に呼びましょう」
と言ったので、近場の親族たちがやってきて。
節子を連れて新太もやってきて。
結局、誠孝ではなく、新太と過ごす夜になってしまった。
まあ、懐かしい話もいっぱいできてよかったのだが。
それにしても、と日子は思う。
仕事のように誠孝さんが式の段取りをこなしていくので。
いつもの癖でつられて私も仕事のように進めてしまったが。
結婚してくださいって結局、言われてないような……。
まあ、あのグランピングの夜の告白がプロポーズだったってことかな、と思ったとき、
「日子っ、まだ起きてたのっ。
さっさと寝なさいよ、肌が荒れるじゃないのっ」
と母親に急かされ、そのまま寝た。
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