日子たちのその後――

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   六月十三日、日曜日。  日子は家族の車に乗せられ、農場に向かった。  衣装はもう届いているので、身軽だった。  この農場がラスティック・ウエディングをやるようになってから作ったというまだ新しいログハウスが控え室になっている。  梅雨の最中なので、屋内でも大丈夫なようにはしてあったらしいが。  幸い天気もよく、テーブルは外にセッティングされた。  アンティークな雰囲気の器。  アロマキャンドルとニュアンスカラーのテーブルランナー。  くすんだピンク系のドライフラワーと生の野草が飾られ、席札は木製でハーブが添えられている。  真っ青な空の下の白い風船と緑で作られたウエディングアーチを見上げ、  ここにしてよかったな……、と日子はしみじみと思った。  控室になっている農場のログハウスに入ると、英国生地の茶系のフロックコートを着た誠孝がいて、 「日子、印鑑持ってきたか?」 と振り返り訊いてくる。  いや、第一声がそれなんですか……。
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