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いや、実は、ただ同居するとかじゃなくて、すぐ結婚しなさいよ、と節子に言われたのだ。
従姉の温子が彼氏と同棲したまま、結婚が面倒くさくなって、ずるずるそのまま一緒にいるので、日子たちも同じようになってしまわないか心配しているようだった。
こ、ここで、結婚しなさいよって言われたんです、って言ったら、私が結婚急かしてるみたいになるではないですかっ
と日子は祖母からのメールが入ったスマホを握りしめる。
もしかしたら、おばあちゃんが誠孝さんにも、その話して機嫌が悪いのかと思ったけど。
どうやら、知らなかったみたいだし。
わ、私の口から、その話する勇気がないんですがっ、とスマホを握りしめる二人の間に緊迫した空気が漂う。
しばらく、そのまま見つめあっていたが、沈黙を破ったのは、誠孝の方だった。
「……レモン」
「は?」
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