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20時。結局今日も残業の真庭と一緒にオフィスを出る。
「やだ、雨。」
鞄を弄ると、折り畳み傘がない。
忘れたんだ。
「ああ…」
と小さく声を漏らすと、頭上で傘がぱっと開く音がした。
「…雨が烟るって言うんだよ。」
思わず真庭の顔を見上げると、街灯に照らされた頬が僅かに染まっている。
何も言わずにそっと肩を寄せると、真庭が少し傘をわたしに傾ける。
そのまま大きな手でわたしの背中を庇うようにして一歩、踏み出した。
合わせて歩き出す。
6月下旬、夜。
白い霧雨の中、新たなグラデーションが始まる予感を抱きながら。
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