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「んー
あやめ、どうする?
続行か中止か
お前が受けた依頼だ
決めるのはお前だよ」
あやめ
『私は…
このまま続けたいです…
もし〇〇さんの考えが正しいのなら
私だけ、この先に行っても問題ないと思いますし…』
「そうか
じゃあ俺はここに残って待ってるから
紫苑、あやめについて行ってくれないか?」
紫苑
『うん、分かった』
俺は1人、部屋に残り
紫苑とあやめは次の部屋へと向かう
暗闇の静寂の中
懐中電灯で辺りを照らし
あやめが調べもらした所はないかと見て回る
少し離れた場所から
紫苑とあやめの話す声がかすかに聞こえる
ミシッ
ギシッ
バキッ
と時折、ラップ音が聞こえる
ズリッ…ズリッ…ズリッ…
足を引きずりながら歩くような音が俺の後ろから聞こえる
後ろを振り返ってみるが誰もいない
浮遊霊の類か?
と俺はポケットからタバコと携帯灰皿を取り出し
タバコに火をつける
ちょうどいい段差があり
そこに腰掛けた
口から吐き出した煙が
上に昇らず
横に流れている
ん?
と思い上を見ると天井に俺を見張っているのか
ギョロギョロとした目が2つこちらを見ていた
お前はなんだ?
そう問うと
その2つの目はフッと消える
女性っぽい目だったが浮遊霊の類だな
一体、この廃墟には何体の霊がいるんだ?
たがどの霊もたいしたことのないものばかり
タバコの火を見ながら
霊の声の事を考える
俺にだけ聞こえた声
男性の声
聞こえた内容は
来るな 去れ
簡単に考えるなら
声が聞こえる聞こえないは
霊力のレベルによるもの
俺、紫苑、あやめ
この三人の中で
霊力が一番強いのは
俺
次に紫苑
最後にあやめ
でも
あやめが一番霊力が弱いと言っても
それはあくまで俺や紫苑と比べて
普通の霊能者と比べれば
あやめの霊力はかなり強い方
それに紫苑も聞き取れなかったと考えるなら
霊力の差で聞こえなかったというのは考えにくい
次に考えられるとすれば
男である俺に近寄ってもらいたくないから
そこから考えつくのは
男性の霊の色情系か…
もしくは男である俺に見られたくない物がある
又は見られたくない者がいるか…
考えれば考えるほど
色々と浮かび上がるが…
どれも確信が持てるものではない
霊のいたずらの可能性もある
再びタバコに火をつけ
癖でライターでカチカチと火をつけたり消したりする
消えたりついたりする火を見ていると
視界の端に白い足が見えた
俺は顔を上げる
無表情で血色のない顔の男性
これも浮遊霊か
なんだ?
何か伝えたいのか?
アノコ タチガ アブナイ…
そう言ってその男性は消えた
あの子達?
紫苑とあやめのことか?
そう思った瞬間
あやめの悲鳴と
紫苑の落ち着いてという言葉
そして
あやめを護らせていた玄武の気配が一気に現れた
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