2834人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は急いで
廊下に出る
3つ先の部屋からかすかに懐中電灯の明かりが漏れていた
俺はその明かりへと走り部屋に入る
「紫苑、あやめ 大丈夫か?」
あやめはうずくまり
ガタガタと震えている
そんなあやめを落ち着かせようと
紫苑はあやめに寄り添っていた
玄武は紫苑とあやめに近づこうとする何者かを
食い止めている
「紫苑、何があったんだ?」
紫苑
『き、急にあれが現れて…
あやめさんが引っ張られたの…
玄武が引き離してくれたけど
あやめさん
パニックになってしまって…』
紫苑の指差す方を見る
玄武が食い止めている者
見た目は普通の女性と変わりない
髪の毛が腰にかかるくらいの長さで
昔流行ったワンレンのヘアースタイル
黒い服に黒いロングのスカート
髪の毛で顔はよく見えないが
20代後半から30代半ばくらいか?
ただ
この気配…
浮遊霊や地縛霊などとは違う
異様な程の圧を感じる気配…
間違いなく悪霊…
こいつ…
厄介だ…
瞬時にそう思う
今まで何回も悪霊とは対峙している
だが
これまで見てきた悪霊は集合体や体の形が変形し
人と似つかないもの
だが
今目の前にいるこの悪霊は
人としての形を保っている…
それだけ霊力が強いってことか
なんでこんな悪霊が今まで気配を隠せていたのか…
「玄武 そのままそいつを縛れ」
「紫苑、あやめを連れて外に逃げろ」
紫苑
『は、はい』
紫苑はあやめを抱えるように部屋から連れ出し外へと行く
ヌシヨ
「玄武どうした?」
コヤツノチカラ
イヨウ
フツウノ
アクリョウデハ
ナイ…
その言葉に
俺は印を組み
さらに悪霊の動きを封じる
「お前何者だっ」
髪の毛の間から見える目がこちらを見る
人の姿を保った悪霊でも
言葉は通じないか…
おそらく自我もないだろう…
「白虎来いっ」
瞬時に現れる白虎
「あいつを喰らえっ」
その指示をした瞬間
一瞬にして悪霊に喰らいつこうとするが…
一気に悪霊の力が膨れ上がり
玄武が弾き飛ばされる
俺の印で縛っていた術も消される
そして白虎が縛られてしまった…
何だこいつ…
縛られるものがなくなった悪霊は
ゆっくりと両方を上げ
胸の前に手を合わせる
そのまま手を組み出した
印か?
悪霊が印?
そして
教を唱えだす
まずい…
「青龍っ
あいつを吹き飛ばしてくれっ」
青龍は物凄い勢いで悪霊に体当たりし
悪霊は吹き飛ぶ
吹き飛ばされた悪霊はスーっと立ち上がり
再び印を組もうとする
あれは駄目だ
絶対あの印の術を唱えさせては…
俺は力を全解放し
悪霊を結界で囲んだ
そして印を組み
全力の力で悪霊を縛り付ける
「青龍 結界の周りをお前の体で覆ってくれ
朱雀 白虎の縛りを喰い千切れ」
青龍は結界の周りをとぐろを巻くように覆った
何故そうさせたか
青龍は四神の中でも1番力の強いもの
俺の張った結界を更に強くするため
青龍の力を借りた
朱雀が縛りを喰い千切り
白虎と朱雀
弾き飛ばされた玄武は俺の側へと戻ってくる
最初のコメントを投稿しよう!