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霊力の圧がなくなり
俺は結界を解く
辺りは静寂と闇
目の前にいた悪霊の姿も無ければ気配も無い
多門天の気配も無い
終わったのか?
そう思った瞬間
足の力が抜け
その場に崩れ落ちる
物凄く体がダルい
頭が割れそうな程の頭痛
視界も歪む
吐き気もする
なんとか体をお越し
壁際に這うように向かう
壁を背にしてなんとか座れる状態
これが多門天を呼んだ代償なのか?
霊力が枯渇してしまったようだ
ある程度回復するまでどのくらいの時間がかかるだろうか
それまでは動く事もままならない…
足音が聞こえる
誰かがこっちに向かってきている
俺を呼ぶ声が聞こえる
この声は紫苑だ
紫苑
『まぁにぃ大丈夫!?』
「み、水…あるか?」
紫苑
『う、うんあるよ』
紫苑は背負っていたリュックから
ペットボトルの水を取り出し俺に渡す
俺はそれを受け取り
飲もうとするが
体に力が入らず
蓋すら開けられない
紫苑
『わ、私が飲ませてあげるよ』
紫苑はペットボトルの蓋を開け
俺の頭を上に向け
ゆっくりとペットボトルの水を俺の口に流し込んだ
「あやめはどうした?」
紫苑
『あやめさんは外にいてもらってる』
「そうか」
紫苑
『しばらく動けそうにない?』
「そうだな…」
紫苑
『私、スマホの電波が入るところまで降りて
助け呼んでくるね』
「頼む…
気をつけてな」
紫苑が小走りで廃墟から出ていく
入れ替わりであやめが俺のところに来る
あやめ
『〇〇さん
ごめんなさい…ごめんなさい…』
ボロボロと泣きながら謝ってくる
「あやめが気にする事はないさ…」
それから2時間?3時間?経った頃
何人かの足音が聞こえてくる
紫苑の声も聞こえる
どうやら人を連れて来たようだ
紫苑
『まぁにぃ!
柿崎さんに頼んで機関の人達に来てもらったよ』
柿崎
『〇〇君、大丈夫ですか?
また無茶をやったんですか?』
「え…えぇ…まぁ…」
柿崎
『ほんとに〇〇君は…』
柿崎さんは呆れたような口調で言う
俺はタンカのようなものに乗せられ
数人がかりで外へと運び出される
そのまま山を降り
俺は柿崎さん達が乗ってきたワゴン車へと乗せられる
柿崎
『〇〇君
どこに迎えばいいでしょうか?』
「とりあえず俺の実家にお願いします
あとあやめ」
あやめ
『は、はい』
「一人で帰れるか?」
あやめ
『だ、大丈夫です…』
「そうか
気をつけて帰れよ」
あやめ
『はい…』
「紫苑、俺の車頼むわ」
紫苑
『うん』
そして俺は機関の車に実家へと向かう
そこからは眠ってしまったのか
気がついた時には日曜日のお昼を過ぎていた
布団から体を起こす
昨夜よりはいくらかマシになっか…
だが
まだ頭痛もするし体もダルい
この調子だと体調が元に戻るのに2、3日はかかそうだな
枕元にあったスマホで
会社の配車係の携帯に体調不良で何日か休むので有給を使うと伝える
(運送業は休日や時間に関係なく配車係には連絡が取れます)
俺が起きたのに気づいたのか紫苑がやって来た
紫苑
『まぁにぃ体調はどう?』
「昨夜よりはだいぶいいが
まだダルいし頭痛もするな」
紫苑
『何か食べる?』
「食いもんはいらないが
何か飲み物ないか?
お茶とかでいいんだが」
紫苑
『今もってくるね』
と紫苑は台所へとお茶を取りに行く
すぐに戻ってきて
俺にお茶を渡す
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