2833人が本棚に入れています
本棚に追加
紫苑
『柿崎さんがね
まぁにぃの体調が戻ってからでいいから
何があったのか聞きたいって』
「あぁ
分かった
だがあの依頼は柿崎さんの機関は関係ないだろ」
紫苑
『うん
そうなんだけど
昨夜、まぁにぃを布団に運んだあと
少し柿崎さんと話をしてね
それで話を聞きたいんだと思う』
「そうか」
紫苑
『あとね
あやめさんとあやめさんのお父さんが
謝りたいって
だから近いうちにお邪魔させてくれって言ってたよ』
「気にしなくてもいいのにな」
紫苑
『ねぇまぁにぃ
聞きたいことがあるんだけど』
「なんだ?」
紫苑
『昨夜の事なんだけど
何を呼んだの?
外にいる私やあやめさんにも分かるほどの強い者
それも式神じゃない何か
あんなの私知らない…』
「あぁ
あれか…
知りたいか?」
紫苑
『そりゃ知りたいよ
あんな恐怖を感じる程の強い存在だよ
知りたいに決まってるじゃん』
「あれな
多門天または多聞天という存在だ」
(この時紙に漢字を書いて紫苑に見せた)
紫苑
『多門天って何?呼び名が2つあるの?』
「どちらも同じ たもんてん という呼び名だが
これは仏法の守護の四天王としての呼び名でな
北方を守護を司るのがこの多門天という呼び名なんだよ」
紫苑
『じゃあ、本当の呼び名があるって事?』
「本当の呼び名というか多門天も本当の呼び名なんだが
もう一呼び名があって
それなら紫苑、お前も知ってるぞ」
紫苑
『え?何なの?
早く教えてよ』
「この多門天…
単独で信仰される時の呼び名は
毘沙門天だ」
紫苑
『えっ!?
毘沙門天!?
ウソでしょ!?』
「ウソいって俺になんのメリットがあるんだよ」
紫苑
『だって毘沙門天って神様じゃん』
「俺が従えてる式神だって
方角の神だろ」
紫苑
『それはそうだけど…
四神と毘沙門天じゃ
神のレベルというか位というか…』
「まぁ
言いたいことは分かるがな
でももしこの術のやり方を知ったとしても絶対に使うな」
紫苑
『なぜなの?』
「これは禁術なんだよ
今回、この術を使って
俺はこんな状態になってしまった
婆さんが生前言ってたんだよ
この術を使うとどうなるか分からないと…
命があった俺は運が良かったのかもしれないな」
紫苑
『禁術まで使うほど今回の件はやばかったって事?』
「あぁ
もう、この術しか思い浮かばなかった…」
最初のコメントを投稿しよう!