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人魚姫と呼ばれている岡くん。
でも実際は彼は王子様で、私たちこそが人魚だった。
真知ちゃんはともかく、私は姫なんて柄じゃないからただの人魚でいい。
いや、海藻か。
そんな私たちの恋は笑えるぐらいにあっさりと泡にかわってしまった。
「失恋記念日だ!もう一件、どっか寄っていくよ!」
「言い方が親父くさいよー」
空を見上げる。
岡くん。幸せそうだったな。笑顔が浮かぶ。
聞こえないはずの笑い声が聞こえた気がした。
その声は、真知ちゃんにも聞こえていたんじゃないかな。
何故だがそんな気がした。
〈終〉
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